シネつう!
JAPAN STYLE !!

ドラえもん
のび太の創世日記
1995年制作

満足度:

劇場版「ドラえもん」第16作。
夏休みの自由研究のテーマを決めかねていたのび太だったが、ドラえもんが未来から創世セットを取り寄せ、のび太は天地創造の日記をつけ始める。

宇宙誕生から人類史にまで言及するような壮大な話とは裏腹に、それがのび太の部屋で小ぢんまりと行われているというギャップが、「ドラえもん」らしい。
SF短編の「創世日記」のネタを焼きなおしという雰囲気もある内容だけど、「創世日記」で描かれた地球存亡の危機に対して、本作は箱庭的な印象が強くてあまり危機感はない印象。
のび太やドラえもんたちが常に第三者的な視点で見ているということも、今一緊張感がない原因かな。
のび太の書いた日記は一地表現力が無くて面白いが、「雨がふってきた」には笑ってしまうw

地球や生命誕生のくだりは、科学好きな藤子F先生らしいこだわりを感じるところだけど、昆虫型人類とお伽噺ネタと地球空洞説と何でもかんでも取り込んで、多少とっ散らかっているような感じも。
危機感が薄い原因に、時代のスキップが頻繁に行われるということもあるかもしれない。
ミクロな視点で登場キャラに肩入れしても、それは新地球の歴史ではほんの一瞬の出来事でしかないわけだし、すぐ次の話になっちゃうのでかかわりが薄いというか。
まあ特定の誰かというよりは、のび太似の家系という血筋に対してのび太自身が感情移入している描写はあるけれど。

最終的には地球の所有権をめぐっての人類と昆虫型人類の争いに…というところで、ドラえもんからの新提案「もう一つの新地球」。
しかしこの解決方法は力技過ぎやしないかというのが、素直な感想です。
昆虫型人類にとって生まれ育った星とは違うわけだし、「母なる星」という概念がない前提ならばありかもしれないけど、なんだか問題のすり替えの様な気もしてしまって…。


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