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水田わさび版「ドラえもん」劇場版第四作。
今回は'81年に上映された「のび太の宇宙開拓史」のリメイク。
導入部から原作やオリジナルには登場しないモリーナという新キャラクターが出てくるけど、そのあたりが“新・宇宙開拓史”である由縁なのだろうか。
脚本は「新・魔界大冒険」の真保裕一で、それと同じく“親子愛”絡みの話が新キャラを使って付け加えられている。
でも個人的にはこの改変はストーリーに馴染んでいるような気がしなくて、いかにも取って付けたような印象だった。
“父親を見殺しにされたこと”の捻くれ方としてもちょっと弱いし、のび太の出入り口を密告する動機も今ひとつ。
嫉妬や妬み、そして気の弱さから密告してしまった原作のブブの方が流れとしては良かったのに。
このリメイクでも一応ブブは登場するが、完全に目立たない役になってしまっている、それの代わりをモリーナが務めているわけだけど、これはやっぱりストーリー上の足りない女っ気を補うために無理やり用意された役のような気がするw
(今回はしずかちゃんの出番が少ないからね。)
まあ全体的な流れはオリジナルと同じなので、昔の話を新作画で観られるのは楽しかった。
ただ、色んな事象があっさりと描かれて話が進んでいくので、あんまり「これを見せたいんだ」というような制作者側の思い入れが感じとりにくかったのは残念だったかなあ。
そういう意味では、この映画で一番納得できないのが今作で変えられたタイムふろしきの扱い。
この作品では、序盤の“タイムふろしきを使う”という伏線が使われないまま終わってしまうんだよね。
コア破壊装置の食い止め方こそこの作品のキモだったのに、まさか亜空間で爆発させてしまうとは…。
最後にタイムふろしきを使わないなら、序盤でその効果を見せるという前振りも要らないじゃないか。
新キャラを描きたいがために、元々良くできていた構成を犠牲にしてしまったというのは、なんだか勿体ない気がして仕方がないです。
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