シネつう!
JAPAN STYLE !!

映画ドラえもん
のび太の人魚大海戦
2010年制作

満足度:

水田わさび版「ドラえもん」劇場版第五作。
今回は原作コミックの1エピソード、「深夜の町は海の底」を元に話を膨らませた作品。

原作で描かれる夜中の町を舞台にした話は映画の冒頭のみ。
その時に迷い込んでしまった人魚のお姫様とのび太達の話として映画は展開されていくけど、どうも中盤以降乗り切れなかった。
序盤は説明的な演出が割とあって助走が長く、人魚族と怪魚族との争いという本筋になってからは駆け足感がありあり。
ゲストキャラ・ハリ坊へのジャイアンの台詞、「お前がいなきゃ張り合いがない」っていうのは唐突すぎるし、どうも展開のバランスが微妙だよね。
深いところに落としたテーマが見えにくく、SFや“映画”への想いが感じられた昔の作品と比べると話も薄いので、どうも全体的に対象年齢が下がっている印象も強い。
人魚族の世界観が地に足つかずにファンタジー的になってしまったのが違和感の根本かもしれない。
この現実世界の延長にあるどこか、って感じが「ドラえもん」の「少し不思議」感だと思うんだけどね。

今回は海が舞台ということもあってか、「海底鬼岩城」からの引用が色々と目に付いた。
昔からのファンへの目配せかもしれないけど、一部台詞(海底が暗くなる説明とか)の流用とか、敵の乗り物がバトルフィッシュぽかったりとか、ちょっと踏み込みすぎてオマージュじゃなくなっているかも?
スネ夫の台詞で「お化けイカが出る」云々とあったけど、そのくらいのさじ加減の方が個人的にはニヤリとするね。

エンディング近辺は色々とあっさりしていて、映画版のラストにしてはちょっと寂しい感じ。
お約束のゲストキャラとのお別れもカットされているのは何でなんだろうなあ。
まあドラミのお使いがプロローグのドラえもんとリンクしている部分くらいは良いと思ったけども。


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