シネつう!
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映画ドラえもん
新・のび太と鉄人兵団
〜はばたけ 天使たち〜
2011年制作

満足度:10

水田わさび版「ドラえもん」劇場版第六作。
1986年に公開された「のび太と鉄人兵団」のリメイク作品。

元々、藤子・F・不二雄原作の大長編ドラえもんでも1〜2位を争う名作をリメイクするという話を聞いた時、正直良いものが出来るかは半信半疑で…。
でも実際に鑑賞して、その原作に対して制作スタッフたちが本当にリスペクトしているということが伝わってきて心底感動したわけです。
新ドラの“やわらかい”絵で描かれる旧ドラの世界で、何より根幹となるストーリーにはほぼ手を付けずに、キャラクターの配置修正によって原作の深みをさらに補強するという脚本と演出の手腕には本当に脱帽。
あまりにも原作と旧映画版のイメージが強いので、ともすれば少しの違いでも違和感に繋がってしまうところを…、この映画は旧ファンや新ファンの子供達が観ても納得の出来る形に昇華しました。
お見事です。

ストーリーラインがほぼ同じなのは前述の通りだけれど、ザンダクロスの頭脳がひよこ型の新キャラクター“ピッポ”として変更されています。
デザインがカワイイ系なのでポスターを見た時はどうかと思ったけど、これの上手いところは毒舌ツンデレキャラとしての位置以上に、ヒロイン・リルルのエピソードの増強や、のび太達とリルルの感情変化の橋渡し役として完璧に機能していること。
このピッポが登場したおかげで、スネ夫のロボット・ミクロスは序盤以外に出番が無くなってしまったけど…、それもやむなしか。
完全にコメディリリーフだったミクロスと比較しても、話の厚みとしてピッポの方が断然良くなっているからね。

それにしても、話も素晴らしいがメカ描写も素晴らしい。
よもや「ドラえもん」でここまで迫力のある巨大ロボットを見せられることになるとは、失礼ながら想像もしてなかった。
特にザンダクロスは素晴らしく、の巨大さを強調するカメラ位置はともかく、その動きの一々に質量が感じられるのが良いんですわ。
ビームや爆発のエフェクトも強烈で、ビル倒壊場面の気合いの入り方はなかなか。

本作は、本当に意味のあるリメイク作品となったことを、心から喜びたいと思う作品です。


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