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水田わさび版「ドラえもん」劇場版第十二作。
今回は原作コミックの1エピソード、「大氷山の小さな家」から話を膨らませた作品。
原作要素はオープニングが終わるころには終わり、作品の95%くらいはオリジナルの展開。
でも南極大陸の氷の下という舞台は、今までの「ドラえもん」でありそうでなかった設定だしいい目の付け所だと思った。
「南極での探索」、「遺跡での冒険」、「異星人との交流」、「タイムトラベルを使った話の仕掛け」…と大長編要素がてんこ盛り。
個人的には「氷山はどこで生まれて、どれくらい前のものなのか」という科学的なうんちくを含んでいるところが気に入ったし、10万年前という設定がラストの天体観測に生きているのは好感を持った。
でも10万年後にどうやって電池を渡すかという部分は、分かりやすい伏線と回収が上手いようで力押しな展開にも感じたけれど…、まあ子供向けでこれ以上込み入った話にしても仕方がないか。
ただ、さすがにパオパオの色が変わるというのは強引だよねえ、そりゃドラえもんだって黄色から青に変わっちゃいるけどさw
今回のゲストのカーラと博士はヒョーガヒョーガ星から調査に来た異星人だってことだけど、“ヒョーガヒョーガ”という響きは「宇宙開拓史」のコーヤコーヤ星を思い浮かべますな。
劇中で「宇宙開拓史」に関しての言及はないけれど、設定上は関係性はあるのだろうか?
まあ「ドラえもん」の世界観に沿った名前ってところかなと個人的には思っているけど。
小さい像のようなパオパオという生き物も“ヒョーガヒョーガ”という響きから「宇宙開拓史」に出てきたパオパオをイメージしてしまうけど、もしかするとこっちは「ジャングル黒べえ」からの引用かも。
カーラや博士が着ている探索用のスーツはデザインが明らかに“黒べえ”だし…。
そういうオマージュは好きですw
映画版お約束の感動シーンは割と中盤に。
偽物のドラえもんを選ぶシーンののび太のやさしさは良いね。
今回は別れの無理やりな泣き場面がなかったのも好感。
逆にジャイアンとスネ夫の短絡的なセリフの多さがちょっと印象悪かったけど、まあ話の役割的にはしょうがないところもあるかなあ。
回りくどい道具の使い方も気になるっちゃあ気になるけど…、冒険感は良いからそれも含めて映画のお約束か。
ともかく、そんな具合に普通には楽しめたのだけど、自分の中ではハズレの多いオリジナル作品は元々ハードルが下がっているからというのもあったかも?
それはそれとして、氷の下の遺跡のデザイン…。
巨石文明の遺跡風でなかなか魅力的なんだけど、見れば見るほど「ワンダと巨像」(もしくは「ICO」か「人喰いの大鷲トリコ」)と思い浮かべてしまう(苦笑)
好きなスタッフがいたのかねえ?
復活したブリザーガは「ワンダと巨像」の巨象か「もののけ姫」のデイダラボッチかって感じもする。
カーラの回想で初めてブリザーガを目撃するシーンは唐突に風景がジブリ風にもなるし、何か色々ぶっこんでますな。
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