シネつう!
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映画ドラえもん
のび太の宝島
2018年制作

満足度:

水田わさび版「ドラえもん」劇場版第十三作。
今回は原作コミックの1エピソード、「南海の大冒険」から話を膨らませた作品。

同原作エピソードからは20年前に「のび太の南海大冒険」が作られているので、そのリメイクのような印象も受けた。
でも、スティーヴンソンの「宝島」をきっかけに“宝探し地図”で見つけた場所に帆船で出発して以降は、完全に別の展開になるので…どちらかというと「『南海大冒険』の話を見直して上書きした」という感じなのかも。
正直言うと、個人的には「のび太の南海大冒険」より本作の方が面白かったんだけどね。

序盤の進行はテンポがとてもよく、グイグイと話を引っ張っていく。
やたらと動きまくる作画の力の入れ様には感心したが、これは画面のやかましさと紙一重だったかな。
登場する秘密道具もこれまでになく大量に出てくるし過去の大長編で使われた懐かしいものも多いので、この辺は明らかに劇場に来た親子の親の世代へ目配せだけど、俺は世代的にストライクなので楽しめましたよ。
説明をすっ飛ばして道具を使いまくる過剰さは、今どきのスピード感という部分もあるのかもね。
「重力ペンキ」や「こけおどし手投げ弾」、「救命イカダ」に「名刀電光丸」、そして「風神うちわ」とは、チョイスがニクい!
あとこの映画では、キャラクターデザインが大山版ドラえもんの…しかも80年代っぽい感じに見える場面が多々あって、そういう部分でも親世代を狙い撃ちにしているのが透けて見えるんだけども、ここでくるとちょっとあざといw

さて、テンポのいい物語の序盤に対して、対峙する相手の事情などを描き出し始める後半になると少々話がまどろっこしくなった印象もあったかな。
相手が有無を言わせぬ悪人ではなく同情の余地がある人物にしたために、そこを深掘りしようとする回想が多くなってしまった気もしたし。
それでも出来るだけテンポを維持しようとしたのだろうけど、逆に場面転換と回想が頻繁になった分だけ話が表面的に見えてしまった感があるのは残念。
いい話にまとめようとするのも分かるんだけど、最終的に親子の話にすり替えられて終わってしまったので、海賊行為の是非や地球の危機への対処などのいろんな要素がいまいち放り投げられているような気もして、なんかモヤモヤするのも事実。


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