シネつう!
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ドラえもん
のび太と翼の勇者たち
2001年制作

満足度:

劇場版「ドラえもん」第22作。
地球とパラレルワールドにあるバードピア。
のび太たちはそこからやってきた鳥人のグースケと出会うが…。

出木杉による伝説の解説、人が作った生きものの楽園、そこで進化した動物たちの社会、そして環境問題に対する多少の説教。
そういった映画のドラえもんらしい要素はいくつかあるものの、「アニマル惑星」を焼き直した感じが強い割にはサスペンス感は弱め。
環境を語りたいのか鳥の社会を描いたファンタジーにしたいのかもちょっと中途半端な印象だし、そもそも問題提起がなぜ鳥だけなんだろうか、と疑問に思ってしまうと…。
今作は翼で空を飛ぶ画を見せるんだ、という構成が先行したのかな?

確かに中盤のイカロス・レースの盛り上げ方は映画ならではで良いね。
「スター・ウォーズ エピソード1」の影響もあるのかな?なんて感じなくもないがw
かと思えば終盤はいきなり怪獣映画の様相になって、なんとも詰め込みまくった感じの作品だよなあ。
鳥をテーマにしてなぜこの敵になるんだろうかと考えるとよく分からないけど、子供が喜びそうだと言われたらそうかもしれない。
トラウマから自力で飛べなかったグースケが、最後に飛べるようになるのはお約束中のお約束。

映画の冒頭では干ばつや海洋汚染で生存を脅かされている鳥たちを最初に見せた。
一方、その答えとして最後に「(のび太たちの世界も)鳥にとっての楽園になるように頑張ろう」ではちょっと漠然としすぎてて、「じゃあどうすればいいのか」という現実解を放棄しているように思う。
そもそも劇中ではバードピアのパトロール隊は渡り鳥が迷うことから守ることを使命としているのだから、ことさらに現実的な環境問題を見せるのはちょっとチグハグかも。
もっと直感的に渡り鳥の危機に繋がる問題を見せるなら、パトロール隊の設定とかも分かる。
ただ、人間由来で渡り鳥の危機があるのかと考えると、リョコウバトが絶滅したような時代ならともかく、今は小規模な狩猟ぐらいしか思いつかないけど。
(悪役のジーグリードの人間への恨みは、人間の狩猟が原因だとは描かれている。)
でも狩猟を全否定すると、そもそも本当の“共存”とは違うと思うから…描きにくいとは思う。
それで冒頭ではことさらに「環境問題」と思えるように見せているのかもしれないけど、ちょっとズルいすり替えに感じてしまうなあ。


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