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劇場版「ドラえもん」第24作。
スネ夫が拾った謎の玉。
そこから生まれた台風の子供をのび太は“フー子”と名付けてかわいがるが…。
連載漫画の短編「台風のフー子」を基に膨らませた作品で、肉付け部分は殆どオリジナル。
その原案となった「台風のフー子」は自己犠牲というちょっとビターな結末の話なので、短編ながらとても印象に残る作品なんだよね。
なので本作も「あれが原作なら結末はきっと…」と思いながら観ていたら案の定だった。
分かっていててもちょっと切ない。
ただ、これが前半あたりでもう少しフー子との交流に絡んだ日常描写に厚みがあったら、俺の涙腺をだいぶ刺激したかもしれないけれど、映画としては80分と短めなのでまだ冷静に観られたかな。
本作からは作画監督が渡辺歩に交代し、目に見えてキャラクターデザインの雰囲気が変わっている。
後の水田わさび版のドラえもん映画の様な、やわらかいというか…ちょっとグニャっとした様な動きが印象的。
たまにギリギリ作画崩れなんじゃないかっていう様なポーズがあったような気もするんだけど…、気にし過ぎ?
本作の悪役はちょっと変則的で、短い作品ながら手が込んでいて面白い。
スネ夫の悪役は「銀河超特急」でもあったけど、こういう役はハマるよなあ。
スネ夫がジャイアンに向かって「ブタゴリラ」と罵るのは笑ってしまった。
熊田薫に謝れw
そんなスネ夫に乗り移っていた敵の呪術師・ウランダーはラスボスでなく、実は別の奴が真の敵というのがもう一捻りなところだけど、この手の話で22世紀の犯罪者となるとやっぱり「日本誕生」が脳裏をよぎる。
途中、のび太が雪の中で行き倒れて幻を見たりなんかするところなんてまんまだし、ヤクの長老みたいなのが語りかけてくるところなんて一瞬タイムパトロールかと思った(苦笑)
でも、本作からしても「日本誕生」は14年も前の作品になるんだから、色々とセルフオマージュみたいなことをしても良い頃合いってことなんだろうか。
まあ細かいことはいいや。
舞台は現代の地球だけど、風を操るという人智を超えた技を使う人々などはもはやファンタジーの域だけど…、子供心には夢があっていいかもしれないかな。
そうそう、中盤以降のジャイアンが地味に良い仕事をして活躍しているところが劇場版らしくて良いと思いますw
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