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劇場版「ドラえもん」第25作。
ある日拾った野良犬を、のび太はイチと名付けてかわいがる。
それをきっかけに、のび太たちは他の野良犬や野良猫も安心して暮らせるように何とかしようと考え、行動に移すが…。
連載漫画の短編「のら犬『イチ』の国」を原案にしたストーリーで、そちらは短編という事もあって、テンポよく割とドライな流れなのだけど、いかにも藤子F先生らしいSF(すこしふしぎ)観として印象に残る一編です。
で、この映画の方は中盤以降の展開…約3億年前に築かれた犬猫の文明をのび太たちが観て回るという場面からがほぼオリジナル。
これはこれで「日本誕生」や「アニマル惑星」と被ってるんじゃ?と思う様な部分もあるけど、25周年の節目の作品という事もあって「小宇宙戦争」のロコロコに似た遊園地の乗り物もあるし、敵であるネコジャラの人間への復讐作戦も「竜の騎士」を想起させるものだったりと、割とワザと過去作のオマージュとしてやってるんじゃないかっていう印象。
名刀電光丸が活躍するのは「大魔境」ってとこだろうし、渦巻き国旗のデザインは短編でたまに建国される「のび太国」国旗のオマージュってとこだろう。
ストーリーとしてはのび太とイチとの交流を主軸にしているけれど、ハチをイチの子孫だとミスリードさせたり、再会までにちょっと捻りをつけながら上手くまとめていて、個人的には良い感じだと思った。
ケン玉というキーアイテムも分かりやすく効いているし、お互いに時間の壁を越えて再会したという流れはなかなかいいね。
まあイチの記憶がよみがえるあたりはご都合主義だと思うけど、そこは言うまい。
原案となった短編の方では神殿ののび太像が話のオチなのに、終盤早々に出てきただけでそのネタがあまり生かされなかったのはちょっと残念。
結局はいつもの映画の様に分かれと冒険が終わった感で締めてしまった。
そこは「映画ドラえもん」の偉大なるマンネリズム(これはほめ言葉です)でもあるとは思うけど、原作短編な様なウィットの効いた感じも欲しかったなあ…、とは望みすぎなんだろうか。
あと気になったのは、ネコジャラの声が泉谷しげるだったことくらいかなあ。
もうちょっとドスの効いた声の方が…。
飯塚昭三とか大平透とか緒方賢一とか、ベテランも出ているのだからそちらに任せた方が…ね。
大人の事情もあるんだろうけど、なぜそこで配役が泉谷しげるだったのかは釈然としない。
まあそこはそう思ったとしても、大山版ドラえもんの映画最終作としては全体的に好意的な感じで観られた作品だけどね。
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