シネつう!
JAPAN STYLE !!

ドロップ
2008年制作

満足度:

お笑いコンビ品川庄司の品川ヒロシ(品川祐)の監督デビュー作。
不良に憧れる主人公ヒロシは私立校から公立校にわざわざ転校し、達也率いる不良グループの仲間になり、日々ケンカに明け暮れる。

半自伝的小説が原作のことだけど、ストーリーがかなり出来すぎているので内容はかなり脚色があるとしても、不良少年映画としてのツボはしっかり押さえているので面白い。
不良に憧れる割にはケンカが強いわけでもなく、実際腰も引けている主人公、ヒロシ。
話を引っ張っていくのは専ら達也というキャラクターになるわけだけど、そのムチャクチャぶりを目撃するヒロシは観客の視線との橋渡し的存在になるわけか。
いちおう品川がモデルなので、序盤はツッコミお笑い的要素もあり素直に楽しめました。
ガンダムやドラゴンボールが不良達の共通言語として成立しているところは、また微笑ましくもあるw

ケンカシーンがなかなか真に迫っているのも好印象だけど、ただ、やたら金属バットで人を殴打するのは強烈過ぎやしないか。
しかも中学生という設定なのだから恐ろしいが、確かに昔、俺の周りにもこの雰囲気に近い不良はいたような気はするw
(バットは持ってなかったけど。)
ちなみに出演者たちは誰も中学生には見えません。
ここは脳内変換が必要だね。

達也がやたらと口にする「人はなかなか死なねえんだよ」という台詞は、バット殴打シーンの正当化として使われているのかと思いきや、後半で「人があっさり死んでしまう」場面があって対比的なイメージとして効果が出てくる。
まあ唐突で安直なお涙ちょうだい的展開ではあったけど、それでも個人的にはヒロシの成長のための強烈な一撃としてはあっても悪くないか。
そうなれば、その直後にヒロシが達也とのタイマン時に言う「人はなかなか死なねえんだろ」という台詞は達也への皮肉めいたものとして機能するわけだが。
ただ、実際その境遇にあった者がそういうことを安易に言うかについては…微妙かもしれない気はする。

それにしても、品川ヒロシの監督デビュー作にしてそつのないこの映画の演出には驚きました。

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