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1980年から81年にかけて放送されたTVアニメ「伝説巨人イデオン」の劇場版。
TV版最終回である第39話「コスモスに君と」の完全版。
死ぬ。
大人も子供も関係なく、みんな死ぬ。
相互理解への微かな可能性も、さらに大きな不信の前では何の意味もなさず、怨嗟の螺旋というその身の不幸は、人が人である限り決して無くならないと描いているようにしか思えない。
精神になることで初めて相互に理解し、調和のとれた世界が生まれるという描写にある種の救いはあるものの、そこまでに必死に生きた人々の容赦ないまでの死に様には…。
正直、言葉が出なかった。
作品としてはTV版最終話のタイミングでイデが発動せず、事態がさらに進行した物語が描かれるわけで、TV版事態が打ち切りなのでこちらの話が当初想定の展開ってところなんだろうか。
それにしても“皆殺しの富野”の徹底ぶりはスゴイな…。
アバンでいきなりキッチ・キッチンの首が飛ぶシーンには驚いた。
カララとカーシャは顔を潰され、アーシュラも首を飛ばされているし、何もそこまで…といった感じであるが、不幸しか生まない争い合う人間の業をこれでもかと表現しているとも取れる。
アニメでこのようなテーマを描き切ったということ、大人になった今観ても色々と考えさせられる面でも、この作品を観て満足はしているのだけども…。
しかしこれならTV版のタイミングでイデが発動してくれていた方がまだ良かったじゃないか。
悲しみが大きすぎるわい。
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