シネつう!
JAPAN STYLE !!

Dear Pyongyang
ディア・ピョンヤン
2005年制作

満足度:

朝鮮総連幹部の娘である監督が両親との会話や日常を撮影しながら、父親にとっての“北朝鮮”と共に監督が感じる違和感を映し出していくドキュメンタリー。

被写体が父親というのは強い。
監督自身の思想と父親の思想からくる対立はあれど、そこには親子の絆が根底に流れているので暖かみを感じる。
それは“娘から父へ”も“父から娘へ”も同じ。
家族という微笑ましい日常を切り取ったホームビデオのようでもある。

だからこそ監督が突っ込んでいく“父親の北への忠誠心”に対する違和感は、他の第三者が作るドキュメントと一線を画した踏み込んだ感情を感じることが出来るんだよね。
熱烈な金日成信奉者である父親の姿と、娘でありながらそれに違和感を感じざるを得ない自分というギャップ。
これは身内にしか撮れない。

父親も現在の北朝鮮を見て、“何か違う”と気づいているのかもしれない。
でも55年に渡って活動家として生きてきた自分を今更否定も出来ないのだろうか。
北朝鮮を信じて息子3人を帰国させたのだから、それすらも否定してしまう事に繋がりかねないからね。

作中ではあの万景峰号が北に住む身内への仕送りに使われるが、日本に入港禁止となっている2008年現在、彼の国での親戚達の生活は一体どうなっているのか?とも考えさせられる。
立場によって見方が変わってしまうのは仕方がないが、政治的な思想とは別に、このように“近くて遠い国”という不幸は無い方が良いと素直に思ってしまいます。


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