7
ヤマザキマリの同名マンガの実写化作品。
古代ローマの浴場建築技師ルシウスは、浴場建築のアイデアに行き詰っていたが、ある切っ掛けで2000年後の日本へタイムスリップし、その高度な浴場施設と文化に驚愕する。
カルチャー・ギャップを描いたコメディ作品であるけど、古代ローマと現代日本という極端なギャップが面白い。
"風呂"という共通文化で結びつけた強引さは原作からの魅力だけど、ルシウスがローマ文明を凌駕したその浴場の様子を見て、色々と勘違いした上で狼狽する姿が見もの。
(自動開閉のトイレのふたを見て、いったい何人の奴隷が…云々。)
阿部寛は日本人ながらローマ人のルシウスを文字通り体当たり…ほぼ裸で演じていて、目をむいて驚くその様子はなかなか楽しい。
ただ、基本的にそういったアイデアは原作からそのままスライドして使っているだけなので、多くのマンガの実写化作品と同じく、わざわざ実写化してまで描くだけのアイデアがそこに見いだせなかったのは残念かな。
オリジナル要素としては、マンガ家志望の女性・真実(上戸彩)が毎度ルシウスに遭遇するという展開を見せてはいるけど、最初からオチが見える。
それに史実改変の危機云々と言われても、ずいぶんと浴場文化で変わっているわけだし、ケイオニウスが女性にだらしないとか、ハドリアヌスが神格化されないとか言われても、ルシウスにとってどれくらいの危機なのかは伝わりにくい。
(史実が変わることの重大さは、あくまで現代人の視点だと思うので。)
ルシウスの特異体質(?)と思われたタイムスリップも、旅館の爺様たちや真実がやって残るようになると…もう何でもありの様な気がするが。
ちょっと終盤の湯治場のくだりは強引さが目立った気がする。
それにしても寝ないで頑張ってラテン語を習得できる真実の語学センスって…。
すらすら会話しちゃってるし、設定が乱暴すぎるだろ!w
マンガ家でなくて翻訳家を志望した方が良いのでは…。
(ちなみに原作では芸妓・さつきに相当するキャラだが、そちらでは古代ローマ文化マニアで大学院卒の歴史学者という設定なので、まあ。)
もどる(タ行)
当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01