シネつう!
JAPAN STYLE !!

どうぶつ宝島
1971年制作

満足度:

ロバート・L・スティーヴンソンの「宝島」を原作にした東映創立20周年記念のアニメーション作品。
港町で宿屋の番をしていた少年ジムは、謎の客から預かった箱の中から宝島の地図を見つける。

作品としては子供向けのアニメ映画で、登場人物は大半が擬人化された動物キャラになっているし、80分弱という尺もちょうどいい感じ。
ピンチと攻略の場面が短い間隔で次々と描かれて、手を変え品を変え、観ている子供を飽きさせないようにしようとする工夫がしっかりしていると思う。
その代わりその尺に合わせてかなり要約したオリジナルの展開になっているけどね。

監督は池田宏。
原画に名を連ねるのは小田部羊一と宮崎駿、作画監督に森康二。
今となっては“宮崎駿”の名前に目を引かれるけど、のちの宮崎アニメに引き継がれていく雰囲気が見え隠れしているところが面白い。
序盤の樽型船での船出シーン(これは小田部氏が担当)や、中盤の海戦やマストの上での剣戟などのアクションシーンは特にその躍動感がそれっぽくてワクワクしてしまうねえ。
気の強いヒロインのキャシーの造形も、いかにもって感じだわw
「アイデア構成」という肩書で宮崎駿の名前が載っていることからも、このあたりは大いに関係があるのだろうとは思います。

冒頭部分の背景画や色遣いはディズニーっぽい感じだけど、キャラデザインはいかにも東映動画だな。
キャラクターの表情のつけかた自体は原画の二人の「っぽさ」がよく出てる印象。
そういえば海賊船の掠奪ダイジェストシーンで黄色フィルターがかかったような色味の画面になるのだけど、俺はうちのプロジェクターがぶっ壊れたかと思ってビックリしてしまった(苦笑)
回想シーンで白黒になるとか彩度が落ちるとかなら知ってるけど、黄色フィルターって演出はあんまり見たことないかも。

子供向けの冒険活劇としては十分面白い。
大人目線だとストーリーよりは絵の動かし方の方が気になってしまうけど、半世紀前の作品だとしても十分に目を引くクオリティになっているのはさすが。
(シルバー船長の見事なアンダースローがなんか好きw)

ラストは火口湖の水が抜けてその湖底から宝を積んだ沈没船が現れるのだけど、そこに宝探しのロマンを感じるのか、「どうやってそこに船をもっていったんや」と思うのかで、自分が“心の汚れた大人”になったかどうかが分かります。
残念ながら自分は後者でしたw


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