7
押井守監督作品。
卵を守る少女と、銃を持った青年の情景が映し出される前衛的なファンタジー。
台詞に頼らず、アニメで描いた情景だけで何かを語ろうとするパワーには圧倒される。
世界の描写、自分物の表情。
緩慢な時間の中で描かれる細かい動画は、よく観れば凄く密度の濃い物だけど…。
ただ、その一つ一つの情景から受ける印象が話の全体として結びつかない。
例えば、卵を守る少女はガラス瓶に水を集めているし、ことある毎に雨であるとか河であるとかが映し出され、影だけの魚が描かれる。
それにピンポイントで差し込まれる台詞には「ノアの方舟」が言及されるので、この作品において“水”というのは何やら重要な要素であるのだろう…とは思うのだけど、結末をもってしてもそれが何かは分からない。
答えの見えないボンヤリとした世界を監督は敢えて描いているのだろうけど、それが凄まじく幻想的であると共に不可解な気持ちにさせてくれる。
今となっては“押井守”という人物の演出思考の一端を知る上で外せない作品だとは思うけど、先入観無しに観て耐えられる作品か?と考えればキツイ。
そう思うのは、ある種「アニメとはこんなものだ」、あるいは「映画とはこんなものだ」という固定観念に囚われているからかもしれないが…。
もどる(タ行)
当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01