シネつう!
JAPAN STYLE !!

トウキョウソナタ
2008年制作

満足度:

突然会社からリストラされた主人公。
彼は家族にはリストラの事実を隠し、自らの威厳を保とうとするが、次第にその関係が崩れていく。

リストラ問題や夫婦や親子の距離といった現代的な家族観を眺めた作品。
視点は主人公に対しても少々突き放した感じがして、どうにもならないギリギリの家族関係を覗き込んでいるような感じがして居心地が悪い。

(空き地なのか?)隣家がない主人公の家に象徴されるように、家族の誰もが見事に孤独でバラバラ。
事あるごとに家の横を走る列車とその光は何の象徴だろう、踏みとどまれない現実か?
何にせよ、主人公が自身のリストラを打ち明けられないというある種のプライドが引き起こした事象で、それ自体は家長制の失われゆく今の縮図のようにも見える。
まあ、現代的だよね。

終盤は役所広司が登場して一気に話が動くのだけど、彼が妙にコメディリリーフを演じているのが可笑しい。
何だろうこのさじ加減は。
ここからが少しファンタジーのような印象なので面食らってしまったのだけど、それでもそれぞれに自分を見つめなおして戻ってきたのだ。
正直、途中までは「アメリカン・ビューティー」のような破綻を思い浮かべもしたけど、それぞれが踏みとどまって完全に崩壊しなかったのは良かったですわ。
なので気持ちの良いストーリーではないにもかかわらず、鑑賞の後味は悪くないね。


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