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魔夜峰央の同名中編漫画の実写化作品。
県境には関所が設けられるなど、東京都民からひどい迫害を受けていた埼玉県民。
その開放に至る都市伝説が今、語られる。
原作は既読。
埼玉をディスりまくった(茨城の扱いも大概ひどいが)原作ギャグマンガを実写化すると聞いて、その内容よりも魔夜峰央の世界観をどうやるんだという点について「また無茶なことを…」と呆れたのだけど、この作品、存外に上手く実写化していますぜ。
まあ実際「パタリロ!」が2016年には舞台劇になっていたりもするので、あの世界を人が演じること自体は不可能ではないんだろうけど。
でもやはりその漫画チックでブラックジョークの塊のような内容を、今度は実写映画というリアルな描写に落とし込むのはなかなかのチャレンジだと思う。
そういう意味では、浮世離れしたキャラクターを演じた二階堂ふみとGACKTが見事にハマったことが、本作の成功要因であるのは間違いないだろう。
もう一つはラジオ番組内で紹介される都市伝説という形で物語が進行するところも、実写に落とし込むアイデアとして良かったと思う。
あまりにも非常識な世界観と現実世界との橋渡しとして効果的だったし、そこでも県民の対抗意識が描かれたりして、いわゆる「あるある」的な面白さを話に上手く滑り込ませていた感じですな。
というかその辺でネタにされているメタな内容が自分としてはツボでした。
格付けテイスティングは完全にGACKTの持ちネタとしてやってるよなあ。
神奈川と言えば“崎陽軒のシュウマイ”も定番ネタだが、群馬なんてマジで群馬で笑ってしまう。
埼玉と千葉の出身者対決とかも、やってることはくだらないんだけどなんか笑ってしまうんだよな。
もうほとんどご当地の自虐的なネタで作られているような作品だけど、これが許される空気は好きですよw
とはいえ終盤にはちょっと埼玉を持ち上げ始めたりして、少しヌルさも感じなくはなかったのだけど、まあバランス感覚が働いたって感じでしょうかね。
とにもかくにも、あの漫画をよく実写で纏めたなあ、という方向で感心したし楽しめはしました。
くだらない話でも、本気で取り組んでるのが分かるので気持ちいのです。
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