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人気TVドラマシリーズ、「トリック」の劇場版4作目。
ドラマシリーズ開始から数えて14年目にして完結編。
赤道直下の国でのレアアース採掘の協力依頼を受けた上田(阿部寛)。
協力と言ってもそこにいる呪術師との対決だったが、例によって上田は山田(仲間由紀恵)を騙くらかして連れて行く。
劇場版となるとどうも肩肘張った内容になって、TV版の緩い感じに比べると物足りなく感じてしまうこのシリーズ。
しかし完結編となる今作は、舞台こそシリーズ初の外国だけど、TV版のユルい感じが継承されていて悪くなかった。
同時期にTV放送された「新作3」が金田一のパロディで押しているなら、こちらはシリーズのお約束で攻めた感じかな。
もはやこちらに“劇場版ならではの豪華さ”を期待していない部分も大きいけど、毎回劇場版では影が薄くなるズラ刑事の矢部と秋葉も今回は割と目立っていたし、初心に戻ったかのような「トリック」らしい下らないノリや展開は嫌いじゃないですよ。
まあ肝心のトリック自体は今作もしょぼい。
というかもはやそれを解くことが話の主眼でもない気がするが、俺としてはエンディングに持っていくために逆算して話を作ったんじゃ…?などと考えたり。
まあ、本当のところはわかりませんがね。
それでも「真実を明かすことが必ずしも幸福には繋がらない」といったこれまでの多くのテーマは、今作では「ここに我々が来たことが間違いだった」ということになって、シリーズの雰囲気を踏襲していたかな。
結果として山田は、死んだ呪術師の身代わりに自分の命を懸けて大爆発という災害を食い止めた。
ここで終わっていたら正直大した感慨も浮かばなかったんだけど…、エピローグが良かったね。
死んだ山田が残した言葉を信じ、上田が仕掛けた霊能力者への挑戦。
上田と里見の会話。
そして記憶喪失の山田が現れ、上田に見せる"本物の超能力"…!
この時の既視感が何とも感慨深い。
これは14年間リアルタイムで観てきた者ならもう上田の気持ちがすごく伝わってくるというか…、こういう具合に感動させられるとは思わなかった。
ラストの上田の表情が良かったよ、本当。
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