シネつう!
JAPAN STYLE !!

冷たい熱帯魚
2010年制作

満足度:

実際の連続殺人事件をベースに、ある熱帯魚店の店主が、知り合ったばかりの大型熱帯魚店の店主が計画した殺人に加担させられていく姿を描いたサスペンス。

妥協なく表現にぶつかっていく園子温の演出はよくできているけど、いやはや妥協なくグロい。
死体処理描写自体は当たり前にグロいが、登場する人間そのものがそもそもグロいw
人の解体でバラバラになった肉片なども普通に表現されるので、そういうのに免疫のない人はムリだろう。
俺はそういう描写は全然平気なのだけど、ここまで血まみれ描写が際立っていると、さすがに何か笑えてくる。

巻き込まれ型の主人公(吹越満)はパッとしない中年だけれど、話を引っ張る殺人者の村田(でんでん)はかなり特異なキャラクター。
異様なほど人当たりの良い出会いの場面から、平然と人を殺していく顔までが不気味な同居をしている。
殺しは平然なのに悪意がないわけではなく、完璧な証拠隠滅を図っているところは悪事だという認識はあるらしい。
それでもシステマチックに解体する姿は尋常ではないわけだが。

ちなみに、殺人を共謀している村田の妻もオカシイのだが、このキチガイじみた映画が映画としての魅力を持っているところは、やはり表現に妥協していないという点が画面からにじみ出ているところだろうか。
間違いなくこれは映画館でかけるために作った映画で、地上波で流そうなんて夢にも思ってないだろうしw

しかし、ただ凄惨なのかというとそうでもない。
凄惨を通り越して、ギリギリ笑いになっちゃうんじゃないかというところで踏みとどまっている感じ。
登場人物たちも、やってることもみんな頭がオカシイのにそれでもそう思えるところが良いと思う。

最たるところは、村田(でんでん)が「ちょっと痛い」と漏らす場面。
あれは違和感と皮肉の中にある、見事に瞬発的なギャグだった。


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