シネつう!
JAPAN STYLE !!

私は貝になりたい
1959年制作

満足度:

戦争中、上官の命令で捕虜を銃剣で突いた主人公。
戦後、彼はその行為が戦争犯罪に問われ、戦犯として絞首刑を言い渡される。

市井の善良な市民が、不幸な時代の流れや裁判での誤解によって人生に絶望するという悲劇の話。
主人公を演じたフランキー堺の演技の評判は耳にしたことがあったけど、なるほど、彼の演技は観ている側と同じ地平にいるかのような、一市民を体現している感じですね。
良い意味でスターのようなオーラを感じない。
それを表に出さない技なんだろうか。
そこがこの話の悲劇性と相まってこちらの感情に訴えかけ、とっても良かったと思う。

ストーリー運びに関しては、なんだか場面転換が性急で細切れの印象が拭えない。
もちろん台詞や客観的な舞台の変化でどのくらい時間が経ったのかは分かるけど、それにしたって強引に時間が進む。
特に気になったのは突然戦後になるシーンと、矢野中将退場の展開。
まあ分かるんだけど、でもスキップ感が残るなあ。
あと、劇中は数年経っているはずなのに、息子があんまり成長しているように見えないのもちょっと。

とはいえ、時代の不幸に巻き込まれた主人公の無念が心に響く作品であるには間違いない。

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