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戦争中、上官の命令で捕虜を銃剣で突いた主人公。
戦後、彼はその行為が戦争犯罪に問われ、戦犯として絞首刑を言い渡される。
1959年にフランキー堺主演で製作された作品のリメイク。
本作の主演はSMAPの中居正広なので、フランキー堺のそれと比べるとやはり印象が変わってしまう(年齢が低く見える?)けど、これはこれで思ったほど悪くなかったと思う。
まあ多少感情を表に出しすぎている感じはしたけど、これは演出の問題か。
1959年版を観たときに感じた話のスキップ感は、軍事教練や憲兵に連行されるシーン等で補完され、一連の流れとしても分かりやすくなっていたのが良かった。
でも逆に主人公と妻の馴れ初めの話や、助命嘆願の署名集めのシーンは蛇足の様に思える。
台詞でも出てくるの映像が無くても分かる話だし、二重説明になっちゃうのでいまいちかなあ。
逆に1959年版にはあった“牛蒡のエピソード”が、台詞からカットされていたのが疑問。
あれは相互の理解不足を的確に表現したエピソードだと思うんだけどなあ…。
描写の追加で印象が変わったことと言えば、大阪大空襲の始まりや、戦後の焼け野原になった東京を映像で再現して見せたところ。
あの時代の出来事を見せてくれたというのはなかなか良かったね。
だけど、矢野中将の「軍事裁判にかけるなら米国指導者も」云々の話は、映画「明日への遺言」を観ているようでこの映画のテーマからするとちょっとズレている気もする。
あと、署名集めに奥さんが苦労したことの描写もそうなんだけど、主人公が見えているもの以上の物を見せすぎたせいで、主人公が“人間でいることに嫌気が差した”事への説得力が分散してしまう気がするんですわ。
自分のために苦労してくれた人をおいて、「もう人間にはなりたくない」というのは…。
だから敢えて描かないということも重要だったんじゃないかな?と思うんだよね。
でも総じてこの作品は、最近のリメイクブームの中では良くできている方だとは思います。
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