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タイでの臓器売買、児童売春の闇を追った新聞記者とNGOの姿を阪本順治監督が描いたドラマ。
タイで心臓移植を行う日本人の子供がおり、その臓器提供者を調べると、それは生きた子供から摘出した心臓を使っていた。
というところからストーリーは始まるんだけど、全体的には外国人がタイで行う児童買売春について割いている時間の方が多い様な感じ。
いずれにせよ問題提起として、描くことに意義のある社会派なテーマであると思う。
しかし3分の2ほどもあるタイを舞台にしたシーンは、妙に演出がヘタに思えるんだよなあ。
ブローカーのボスと部下の会話とかなんて、廊下の奥から話ながら歩いてきたのに、途中でボスが「屋上に上らなくっちゃ」と一人引き返すとか、まるで話を聞かせるために用意したシーンの様で不自然。
仮にそうだとしても自然に見せてくれなくっちゃあねえ。
終盤の銃撃戦なんて全く不可解な展開。
NGOの邪魔をしたいなら代表を撃てばいいのに、何故に最初に警官を撃つか?
おかげでブローカーは総員逮捕ですよ、意味が分からんw
と思えば、台詞に頼らずに1カットだけで匂わす様な良い撮り方をしている場面もあるし、なんだかチグハグな感じ。
そんな感じでタイの場面は今ひとつなんだけど、日本の場面はなかなか悪くない。
NGO職員(宮崎あおい)のひたすら青臭い感情的な主張と、それに引きずられて感情的に硬直する心臓移植待ちの子の親との怒鳴り合い。
それに続く新聞記者の主人公(江口洋介)が「あれは説得じゃない、感情をぶつけてるだけだ、バカ女」と罵る一連の流れは好きだなあ。
チグハグついでに、ラストはブローカーを摘発すべきじゃなかったと思う。
そんな安易に纏める必要はないテーマな気がするし。
そういう意味では、新聞記者の真実を知ったカメラマン(妻夫木聡)を鏡越しに撮って暗転したあの場面でエンドロールになるべきだった。
エンドロールの曲も…うーむ。
そんなわけで、全体的には惜しい場面が散見されていまいちな印象の残る作品になってしまいました。
…もったいない。
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