シネつう!
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劇場版 幼女戦記
2019年制作

満足度:

カルロ・ゼンの同名小説を原作にしたTVアニメ「幼女戦記」。その続編として公開された劇場版。
南方大陸で共和国軍の残党を殲滅した帝国軍第二〇三航空魔導大隊だったが、休暇を取る間もなく東の連邦域内への越境偵察を命じられる。

総集編でも劇場版用のスピンオフでもなく、完全にTV版全12話の続きの話というのは気合が入っているねえ。
一応、後年からのその戦争についての見解という体で前振りはあるものの、あらすじ紹介などはないまま一気に話が始まる潔さや良し。
というわけで世界観や人物設定を知った上での完全にファン向けの内容ではあるものの、TV版の終盤で登場した主人公と因縁浅からぬ少女・メアリー・スーとの対決をメインに据えた展開は見所が多く面白かったですよ。
常に冷徹で打算的な主人公・ターニャとは真逆な行動原理というキャラクターの配置が良い。
「戦争は感情によって引き起こされる」という前振りよろしく、メアリーが父の仇という復讐心によって突き進む様子は狂気だよな。
彼女にとっては正義の行動だろうけど、私怨から独断先行してしまうなど軍人としては全く失格な行動も多く上官の苦労がしのばれます(苦笑)。
ドレイクの「無能な働き者」という言い草には笑った。

さて、今回はソ連がモデルの“連邦”との戦線が舞台。
もちろん“連邦”は共産主義国家なのだけど、ターニャの共産主義者に対する言い草なかなかブラックw
まあ元エリートサラリーマンのターニャからすればコミュニストなんて全く主義の異なる集団だし、心の底から見下しているんだろうけどw
馬鹿みたいな人海戦術を見て「共産主義者は畑で採れるのか」や、防空網をバカにした「赤の広場にセスナで着陸できる」など、歴史ネタのセリフにもいちいちニヤニヤしてしまいますぜ。

劇場版としてはアクションシーンの迫力には納得しているものの、爆炎描写はなんとなく立ち上る感じが硬く感じたりして気になった部分も。
(特に序盤にあった共和国の司令部爆破とかは煙の塊感とか。)
「オネアミスの翼」の様な爆炎の生々しさがあればもっと戦場感が盛り上がったのかもなあなどと思ってしまったり…、求めすぎ?
でも空間をグリグリ移動するカメラワークは迫力満点だったのでそこは良かったけどね。
終盤の市中での空中戦なぞ、移動が速すぎてコマ落ちしてるんじゃないかって感じる場面すらあったけど、そこはご愛敬。
ここまで動かしてくれるなら大画面で観たかいはあります。


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